WATALISのはじまり

WATALISのはじまり

ふぐろとの出会い

 2011年の夏。WATALIS代表の引地は、亘理町の郷土資料館の学芸員として民俗調査に関わり、古い時代の亘理を知る人達を訪ね歩いていました。ある日、農家で1つの巾着袋に出会いました。亘理に暮らす女性達は、着物の残り布で仕立てておいた巾着袋に一升のお米を入れて、お祝いやお返し、手土産にしていました。小さな布も大切にし、沢山縫いためて、いつでもすぐに『ありがとう』と気持ちを手渡していたのです。「ふくろ」がなまって「ふぐろ」。この「ふぐろ」が時間軸を越えて、当時の自分とは異次元の生き方「感謝を形にする生き方」を伝えてくれたのです。

WATALISが生まれた町

宮城県亘理町

 宮城県亘理町は、仙台から南に電車で40分ほどの場所にあります。人口約3万人の小さな城下町で、昔ながらの農村と漁村の文化が混然一体となっています。2011年3月11日。東日本大震災が起きて、津波で多くの命が失われました。積み重ねてきた暮らしや、心を支えてきたものが一瞬にして消え去り、残されたのは記憶だけでした。仕事も、みんなが集まる場所もなくなりました。いくら消し去ろうとしても、悲観的な思いが次々に湧き上がってきます。これから私たちはどう生きたらいいのだろう。そんな時、脳裏に思い浮かんだのが「ふぐろ」でした。「ふぐろ」に詰まった亘理の女性達の暮らしや「感謝を形にする生き方」を受け継ぎ、伝えたい。その営みを通して、自らの人生を前向きなものにしたい。そうして誕生したのが新しい「FUGURO」です。

きものを新たな形へ

WATALISのアップサイクル

 かつて養蚕が盛んだった亘理町には、布を大切にする文化が根付いています。私たちはこの新しい「FUGURO」を作ることで、古い着物地の価値を高めて、再び世に出す「アップサイクル」に取り組みたいと思いました。「ふぐろ」は、もともと着物の残り布を再利用して作っていました。新しい「FUGURO」は、全国から回収した着物を再利用しています。日本の衣料品リサイクル率は20%以下と、あまり高くはありません。私たちWATALISは、2021年までに着物約10トンを回収し、思い出が残る着物地を今を生きる亘理の女性達の手で甦らせています。